【一級建築士】設計製図の試験『過去問分析』|平成15年から令和元年

2020年7月9日一級建築士

一級建築士「設計製図の試験」過去問分析

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①「設計製図の試験」の出題課題を確認したい方。

②一級建築士試験を受験予定の方で、過去問について知りたい方。

こんにちは、建築チャンネルです。

この記事では、一級建築士の「設計製図の試験」の過去問分析を行いたいと思います。

対象とした期間は、平成15年から令和元年の17年分です。

直近7年分の試験問題や標準解答例は、建築技術教育普及センターにてダウンロードできます。

特に、合格基準等のPDFは、試験対策をする上でとても大切です。

詳細は、下のリンクページをご確認ください。

→建築技術教育普及センターの過去問ダウンロードページ

それでは早速、本題にうつりたいと思います。

「設計製図の試験」の過去問分析

過去問を分析するにあたり、下記7つの表を作成しました。

・採点結果の区分の分析表
・課題の系統と変更点の分析表

・階数や床面積、課題の特色の分析表
・敷地面積の分析表
・構造種別の分析表
・設備計画の分析表
・要求図書の分析表

ここからは、これらの表をもとに解説していきます。

採点結果の区分の分析表

年号課題名
R1美術館の分館(10/13実施)36.60%3.00%29.20%31.30%
H30健康づくりのためのスポーツ施設41.40%16.30%16.50%25.90%
H29小規模なリゾートホテル37.70%21.20%29.90%11.20%
H28子ども・子育て支援センター
(保育所、児童館・子育て支援施設)
42.40%27.10%20.70%9.70%
H27市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅
(基礎免震構造を採用した建築物である。)
40.50%25.20%23.30%11.00%
H26温浴施設のある「道の駅」(10/12実施)40.50%32.70%20.50%6.30%
H25大学のセミナーハウス40.80%27.30%19.20%12.70%
H24地域図書館
(段床形式の小ホールのある施設である。)
41.70%27.90%18.20%12.20%
H23介護老人保健施設
(通所リハビリテーションのある地上5階建ての施設である。)
40.70%30.50%18.10%10.70%
H22小都市に建つ美術館41.80%27.80%23.50%6.90%
H21貸事務所ビル
(1階に展示用の貸スペース、基準階に一般事務用の貸しスペースを計画する。)
41.20%25.80%23.00%10.00%
H20ビジネスホテルとフィットネスクラブからなる複合施設41.70%11.50%24.10%22.70%
H19子育て支援施設のあるコミュニティセンター49.40%22.20%20.00%8.40%
H18市街地に建つ診療所等のある集合住宅
(地下1階、地上5階建)
31.40%16.80%26.80%25.00%
H17防災学習のできるコミュニティ施設30.30%14.90%11.10%43.70%
H16宿泊機能のある「ものつくり」体験施設33.50%12.10%18.50%35.90%
H15保育所のある複合施設40.30%22.70%15.20%21.80%

この表では、採点結果の区分をまとめています。

採点結果は、下記4段階に区分されます。

【採点結果の区分】

ランクⅠ:「知識及び技能」を有するもの
ランクⅡ:「知識及び技能」が不足しているもの
ランクⅢ:「知識及び技能」が著しく不足しているもの
ランクⅣ:設計条件及び要求図書に対する重大な不適合に該当するもの

つまり、ランクⅠが「設計製図の試験」の合格者という意味です。

このランクに注目すると、近年の試験はランクⅣの割合が上昇していることが分かります。

また、令和元年の試験は、ランクⅢとⅣの合計割合が60%を超えています。

これは、過去17年間で前例が無い数字です。

この要因として、あげられていることを下記に示します。

・要求されている室の欠落
・要求されている主要な室等の床面積の不適合
・延焼のおそれのある部分の位置(延焼ライン)と防火設備の設置
・防火区画(特に吹抜け部の1階部分の区画)
・直通階段に至る重複区間の長さ
・吹抜けの計画(吹抜けとなっていないもの)

以上のことが、合格基準等のPDFに記載されています。

ここから、近年の設計製図の試験では、法令への理解を重視していることが読み取れます。

課題の系統と変更点の分析表

年号課題名系統変更点
R1美術館の分館展示
H30健康づくりのためのスポーツ施設スポーツ課題文A3からA2に変更
H29小規模なリゾートホテル宿泊下書用紙に敷地図を掲載
H28子ども・子育て支援センター
(保育所、児童館・子育て支援施設)
子育て
H27市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅
(基礎免震構造を採用した建築物である。)
福祉・住居
H26温浴施設のある「道の駅」コミュニティ
H25大学のセミナーハウス宿泊計画の要点に図示を初出題
H24地域図書館
(段床形式の小ホールのある施設である。)
図書館
H23介護老人保健施設
(通所リハビリテーションのある地上5階建ての施設である。)
福祉
H22小都市に建つ美術館展示
H21貸事務所ビル
(1階に展示用の貸スペース、基準階に一般事務用の貸しスペースを計画する。)
事務所試験見直し後初試験
H20ビジネスホテルとフィットネスクラブからなる複合施設スポーツ・宿泊
H19子育て支援施設のあるコミュニティセンター子育て
H18市街地に建つ診療所等のある集合住宅
(地下1階、地上5階建)
住居計画の要点を初出題
H17防災学習のできるコミュニティ施設コミュニティ
H16宿泊機能のある「ものつくり」体験施設宿泊
H15保育所のある複合施設子育て

この表では、課題の機能の系統、そして前年度の試験からの変更点をまとめています。

上表から、「宿泊」系の機能が4回出題されており、多いことが分かります。

次に多い機能は、「子育て」系です。3回出題されています。

また、近年の大きな変更点としては、課題文の用紙がA3からA2に変更となり、読解量が増えたことがあげられます。

階数や床面積、課題の特色の分析表

年号課題名階数床面積合計の範囲課題の特色
R1美術館の分館地上3階2,000㎡以上2,400㎡以下
H30健康づくりのためのスポーツ施設地上3階2,300㎡以上2,800㎡以下
H29小規模なリゾートホテル地下1階
地上2階
2,400㎡以上2,800㎡以下勾配屋根
H28子ども・子育て支援センター
(保育所、児童館・子育て支援施設)
地上3階2,000㎡以上2,500㎡以下
H27市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅
(基礎免震構造を採用した建築物である。)
地上5階2,600㎡以上3,100㎡以下基準階
H26温浴施設のある「道の駅」地上2階1,800㎡以上2,200㎡以下勾配屋根
H25大学のセミナーハウス地上2階1,500㎡以上1,800㎡以下勾配屋根
H24地域図書館
(段床形式の小ホールのある施設である。)
地下1階
地上2階
1,800㎡以上2,200㎡以下
H23介護老人保健施設
(通所リハビリテーションのある地上5階建ての施設である。)
地上5階3,400㎡以上4,000㎡以下基準階
H22小都市に建つ美術館地上2階1,800㎡以上2,200㎡以下
H21貸事務所ビル
(1階に展示用の貸スペース、基準階に一般事務用の貸しスペースを計画する。)
地下1階
地上7階
5,200㎡以上5,800㎡以下基準階
H20ビジネスホテルとフィットネスクラブからなる複合施設地下1階
地上7階
6,000㎡以下基準階
H19子育て支援施設のあるコミュニティセンター地上3階2,000㎡以上2,500㎡以下
H18市街地に建つ診療所等のある集合住宅
(地下1階、地上5階建)
地下1階
地上5階
3,000㎡以上3,600㎡以下基準階
H17防災学習のできるコミュニティ施設地上2階1,800㎡以上2,300㎡以下既存部有
H16宿泊機能のある「ものつくり」体験施設地上3階2,200㎡以上2,600㎡以下勾配屋根
H15保育所のある複合施設地下1階
地上3階
2,200㎡以上2,700㎡以下

この表では、建物の階数や床面積、課題の特色をまとめています。

上表から、H28年から3層の課題が続いていることが分かります。

また、基準階タイプの課題は、H27年を最後に出題されていないことが読み取れます。

一方で、過去問を振り返ると、基準階タイプの課題は定期的に出題されていることが分かります。

4年以上、基準階タイプが出題されないことは前例が無いです。

まだ、令和2年の課題は発表されていませんが、基準階タイプの可能性が高いかもしれません。

敷地面積の分析表

年号課題名X(m)Y(m)面積(㎡)
R1美術館の分館32481,536
H30健康づくりのためのスポーツ施設52321,664
H29小規模なリゾートホテル54422,268
H28子ども・子育て支援センター
(保育所、児童館・子育て支援施設)
50361,800
H27市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅
(基礎免震構造を採用した建築物である。)
50351,750
H26温浴施設のある「道の駅」50361,800
H25大学のセミナーハウス50351,750
H24地域図書館
(段床形式の小ホールのある施設である。)
50351,750
H23介護老人保健施設
(通所リハビリテーションのある地上5階建ての施設である。)
35381,330
H22小都市に建つ美術館45351,575
H21貸事務所ビル
(1階に展示用の貸スペース、基準階に一般事務用の貸しスペースを計画する。)
40351,400
H20ビジネスホテルとフィットネスクラブからなる複合施設50301,500
H19子育て支援施設のあるコミュニティセンター50331,650
H18市街地に建つ診療所等のある集合住宅
(地下1階、地上5階建)
35461,610
H17防災学習のできるコミュニティ施設52452,340
H16宿泊機能のある「ものつくり」体験施設52381,976
H15保育所のある複合施設50371,850
平均値47371,738

この表では、敷地のX方向やY方向の長さ、敷地面積をまとめています。

上表から、敷地のX方向の平均値は47m、Y方向は37mであることが分かります。

また、敷地面積の平均値は1,738㎡です。

令和元年度は、X方向が短辺でしたが、このような敷地形状は17年間で3回のみです。

14回は、X方向が長辺、Y方向が短辺の長方形で出題されています。

構造種別の分析表

年号課題名構造種別
R1美術館の分館自由
H30健康づくりのためのスポーツ施設自由
H29小規模なリゾートホテル自由
H28子ども・子育て支援センター
(保育所、児童館・子育て支援施設)
自由
H27市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅
(基礎免震構造を採用した建築物である。)
自由
H26温浴施設のある「道の駅」自由
H25大学のセミナーハウス自由
H24地域図書館
(段床形式の小ホールのある施設である。)
自由
H23介護老人保健施設
(通所リハビリテーションのある地上5階建ての施設である。)
自由
H22小都市に建つ美術館鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又はこれらの併用
H21貸事務所ビル
(1階に展示用の貸スペース、基準階に一般事務用の貸しスペースを計画する。)
鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又はこれらの併用
H20ビジネスホテルとフィットネスクラブからなる複合施設ラーメン構造による鉄筋コンクリート造
(一部他の構造種別と併用してもよい。)
H19子育て支援施設のあるコミュニティセンター自由
H18市街地に建つ診療所等のある集合住宅
(地下1階、地上5階建)
ラーメン構造による鉄筋コンクリート造
(一部鉄骨造としてもよい。)
H17防災学習のできるコミュニティ施設ラーメン構造による鉄筋コンクリート造
(一部鉄骨造としてもよい。)
H16宿泊機能のある「ものつくり」体験施設ラーメン構造による鉄筋コンクリート造
(一部鉄骨造としてもよい。)
H15保育所のある複合施設ラーメン構造による鉄筋コンクリート造

この表では、構造種別についてまとめています。

上表より、H23年から構造種別は「自由」が続いていることが分かります。

設備計画の分析表

年号課題名空調設備給排水衛生設備電気設備消火設備
R1美術館の分館空冷ヒートポンプ、外気処理空調機を屋上に計画適切に計画屋上に計画1階に計画
H30健康づくりのためのスポーツ施設適切に計画適切に計画屋上に計画適切に計画
H29小規模なリゾートホテル外気処理空調機
+
ファンコイルユニット方式
給湯設備は中央式給湯方式地下1階に計画適切に計画
H28子ども・子育て支援センター
(保育所、児童館・子育て支援施設)
適切に計画適切に計画適切に計画適切に計画
H27市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅
(基礎免震構造を採用した建築物である。)
適切に計画適切に計画適切に計画適切に計画
H26温浴施設のある「道の駅」適切に計画給湯設備は中央式給湯方式適切に計画適切に計画
H25大学のセミナーハウス適切に計画適切に計画適切に計画適切に計画
H24地域図書館
(段床形式の小ホールのある施設である。)
適切に計画
単一ダクト(小ホール)
適切に計画適切に計画適切に計画
H23介護老人保健施設
(通所リハビリテーションのある地上5階建ての施設である。)
空冷ヒートポンプマルチ型エアコン受水槽方式適切に計画適切に計画
H22小都市に建つ美術館適切に計画適切に計画適切に計画適切に計画
H21貸事務所ビル
(1階に展示用の貸スペース、基準階に一般事務用の貸しスペースを計画する。)
適切に計画適切に計画適切に計画適切に計画
H20ビジネスホテルとフィットネスクラブからなる複合施設適切に計画適切に計画地下1階に計画適切に計画
H19子育て支援施設のあるコミュニティセンター適切に計画適切に計画地上階に計画適切に計画
H18市街地に建つ診療所等のある集合住宅
(地下1階、地上5階建)
空冷ヒートポンプパッケージ方式
(住戸部分は除く。)
適切に計画地下1階に計画適切に計画
H17防災学習のできるコミュニティ施設空冷ヒートポンプパッケージ方式-地上1階に計画-
H16宿泊機能のある「ものつくり」体験施設単一ダクト方式と個別方式とを併用-地上1階に計画-
H15保育所のある複合施設単一ダクト方式と個別方式とを併用-地下1階に計画-

この表では、設備計画についてまとめています。

上表より、令和元年度は空調設備と電気設備、消火設備に指定があったことが分かります。

また、電気設備は、3年連続で位置が指定されていることが読み取れます。

要求図書の分析表

年号課題名地階1階2階3階基準階梁伏断面立面面積表計画の要点
R1美術館の分館
H30健康づくりのためのスポーツ施設
H29小規模なリゾートホテル
H28子ども・子育て支援センター
(保育所、児童館・子育て支援施設)
H27市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅
(基礎免震構造を採用した建築物である。)
H26温浴施設のある「道の駅」
H25大学のセミナーハウス
H24地域図書館
(段床形式の小ホールのある施設である。)
H23介護老人保健施設
(通所リハビリテーションのある地上5階建ての施設である。)
H22小都市に建つ美術館
H21貸事務所ビル
(1階に展示用の貸スペース、基準階に一般事務用の貸しスペースを計画する。)
H20ビジネスホテルとフィットネスクラブからなる複合施設
H19子育て支援施設のあるコミュニティセンター
H18市街地に建つ診療所等のある集合住宅
(地下1階、地上5階建)
H17防災学習のできるコミュニティ施設
H16宿泊機能のある「ものつくり」体験施設
H15保育所のある複合施設

この表では、要求図書についてまとめています。

上表から、H27年からは平面図3面+断面図+面積表+計画の要点が要求されていることが分かります。

H21年からH26年は、平面図1面の変わりに、梁伏図が要求されてたようです。

また、立面図が要求されたのはH17年のみであることが読み取れます。

まとめ

ここまで、一級建築士の「設計製図の試験」の過去問を分析してきました。

この記事の振り返りとして、重要な部分をまとめたいと思います。

この記事のまとめ

①合格基準等のPDFは、試験対策をする上でとても大切。
→建築技術教育普及センターの過去問ダウンロードページ

②近年の試験はランクⅣの割合が上昇している。

③令和元年の試験は、ランクⅢとⅣの合計割合が60%を超えており、過去17年間では前例が無い。

④近年の設計製図の試験は、法令への理解を重視している。

⑤過去17年間で、「宿泊」系の機能が4回出題されている。

⑥近年の設計製図の試験は、課題文の用紙がA3からA2に変更となり、読解量が増えている。

⑦過去17年間で、4年以上基準階タイプが出題されないことは前例が無い。

⑧過去17年間の敷地面積の平均値は、1,738㎡。

⑨H23年から構造種別は「自由」が続いている。

⑩電気設備は、3年連続で位置が指定されている。

⑪H27年からは平面図3面+断面図+面積表+計画の要点が要求されている。

⑫立面図が要求されたのはH17年のみ。

この記事が、これから資格取得を目指す方にとって、少しでもお役に立てば幸いです。

最後まで記事をご覧いただきまして、ありがとうございました。

2020年7月9日一級建築士